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役員賞与を活用して社会保険料を削減、実質的な節税を行う仕組みと方法を徹底解説

役員賞与を活用して社会保険料を削減、実質的な節税を行う仕組みと方法を徹底解説

2019/8/17

役員報酬を賞与で支払うことで社会保険料を節税できる

まず役員賞与を支払うことで社会保険料が節税されるのはなぜなのでしょうか。その理由は健康保険、厚生年金保険に設定されている「上限の差」にあります。

役員賞与に対する健康保険料の上限は年度の報酬の累計額で573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円という上限が設けられており、その範囲内で保険料の額や保険給付の額を計算されています。

つまり健康保険料や厚生年金保険料のそれぞれの上限を超える部分については、社会保険料は「かからない」ということになります。この役員報酬の上限を利用することにより社会保険料の支払いを大幅に削減し節税することができるのです。

健康保険料の上限573万円/年
厚生年金保険料の上限150万円/月

役員賞与で社会保険料はいくら削減できるのか

では具体的に「役員賞与」として報酬を受け取る形にすることで、いくら社会保険料の節税効果が見込めるのでしょうか。具体的な報酬金額で比較していきたいと思います。年間の役員報酬総額が1,200万円の場合、その報酬を毎月の役員報酬としてもらう場合と役員賞与としてもらう場合ではどれくらい社会保険料の違いがあるのでしょうか。

毎月100万円を役員報酬としてもらう場合の社会保険料

まずは毎月の「役員報酬」として100万円をもらう場合の社会保険料の金額について見ていきます。毎月100万円の役員報酬として12ヶ月受け取った場合、月々の健康保険料は97,020円、厚生年金保険料は113,460円となります

参考リンク:保険料額表
役員報酬100万円/月の社会保険料
健康保険料97,020円
厚生年金保険料113,460円
合計210,480円

この場合、1年間の社会保険の負担は2,525,760円となります。

役員賞与として報酬をもらう場合の社会保険料

では続いて、「役員賞与」として報酬を受け取るケースです。

月々の役員報酬の計算

毎月の役員報酬は5万円と金額をおさえ、役員賞与として一括で1,140万円を受け取るとします。この受け取り方法でも年間の報酬総額は毎月100万円受け取る場合と同じく1,200万円となります。

この場合、まず月々5万円の役員報酬に対する健康保険料は5,742円、厚生年金保険料は16,104円となります。

役員報酬5万円/月の社会保険料
健康保険料5,742円
厚生年金保険料16,104円
合計21,846円

この場合1年間の社会保険の負担は262,152円です。

役員賞与の計算

更にこの金額に役員賞与部分の社会保険料を加算していきます。役員賞与に対する社会保険料の率は以下の通りです。

役員賞与に対する社会保険料率
健康保険9.90%
厚生年金保険18.30%

1,140万円の賞与を受け取る場合、健康保険、厚生年金保険共に上限(健康保険の場合は573万円/年、厚生年金保険の場合は150万円/月)に達しますので、健康保険料は573万円×9.9%、厚生年金保険料は150万円×18.3%となります。

健康保険料
5,730,000円×9.9%=567,270円
厚生年金保険料
1,500,000円×18.3%=274,500円

役員賞与として報酬をもらう場合の社会保険料合計

賞与に対する社会保険料は567,270と274,500を足して841,770円となります。先ほどの月々5万円に対する社会保険料と賞与に対する社会保険料を合算すると

262,152円+841,770円=1,103,922円

となります。

役員賞与と役員報酬の社会保険料の差額

月々100万円の役員報酬を受け取る場合と賞与で受け取る場合の社会保険料を比較すると

2,525,760-1,103,922=1,421,838となり、役員賞与として支払うことによって約140万円もの社会保険料の削減が出来ることになります。

役員報酬役員賞与
2,525,760円1,103,922円
差額1,421,838円

ちなみに、厚生年金保険料の上限は1ヶ月に対しての限度額ですので、例えば賞与を2回に分けるのではなく150万円以上支給する場合には1回で支給するなどの節税方法もあります。

役員賞与を活用する社会保険料以外のメリット・デメリット

その他にも役員賞与を活用することにより社会保険料の削減だけでなく、毎月の報酬額を下げられますので付随するメリットもあります。そのような恩恵が受けられるのは特に毎月の給料の額を判定基準と設定されているような場合に当てはまります。

例えば役員賞与を活用することにより高額療養費制度の適応額が低くなります。しかし、それと同じく退職金も毎月の報酬額を基準としていますので、毎月の役員報酬が低ければ経費算入可能額も低く設定されてしまうというデメリットもあります。

メリット:高額療養費制度の適応額が低くなる

役員賞与を活用し毎月の報酬を下げることで、高額療養費制度の適応額も下げることができます。高額療養費とは、1年間の医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻されるという制度です。

この自己負担限度額は標準報酬月額によって決められます。つまり標準報酬月額が高くなるにつれて自己負担限度額も上がります。もし賞与を活用し標準報酬月額を下げることができれば自己負担限度額を下げることが可能ということになります。

デメリット:退職金の損金算入額が低くなる

一方、退職金の損金算入額も多くの場合「最終役員報酬月額」を基準としますので、その額を下げているのであれば必然的に退職金の損金算入額も低くなってしまいます。

退職金を支給する際、役員に対する退職金のうち、「不相当に高額な部分」の金額については税務上損金計上することはできません。役員退職金の計算について具体的な計算方法は定められていませんが、実務上、以下の算式による役員退職金の算出方法が一般的に行われています。

役員退職金の適正額
最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率

功績倍率は「役員の職責に応じた倍率」のことで特に会長の場合は何倍でなければならないなどの決まりはありませんが、その金額が過大と判断されてしまうと、損金として認められない場合もあります。

役職功績倍率
会長3
社長3
専務2
常務1.5
取締役1.5

(役職と功績倍率例)

役員退職金の算出方法はこの方法でなければ認められないと言うわけではありませんが、一般的に採用されるこの退職金の算定方法を使う場合、最終報酬月額を使用しますので注意しましょう。

役員賞与を支払い社会保険料を削減するための方法

では具体的にどのような手順を踏めば役員に賞与を支払い社会保険料の削減をすることができるのでしょうか?

まずは役員に賞与を支払うための事前準備を進めなければなりません。企業を経営している経営者によっては「役員に対して賞与は支払えない」と認識している方も多くいらっしゃいます。しかし必要な手順を踏めば役員に対しても賞与を支払うことはできます。

まずは使用人兼務役員の場合であれば従業員分として支給された部分の賞与は損金として認められます。(※使用人兼務役員とは役員のうち、部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者のことを言います。)

また、使用人兼務役員ではない場合でも具体的には次の手順に従って役員報酬を支払うことができます。

手順1.株主総会による決議

まず株主総会を開催して、役員賞与に関する決議を行います。そこでは支給する役員賞与(事前確定届出給与)の額と支給する役員賞与(事前確定届出給与)を決議します。決議の内容は株主総会議事録を作成し記録として残すことが重要です。

手順2. 事前確定届出給与に関する届出書を税務署に提出

続いて「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出しなければなりません。この事前確定届出給与に関する届出書は株主総会、社員総会等の決議により所定の時期に所定の金額を支給することを定めた場合には、その決議の日から1ヶ月を経過する日と会計期間開始の日から4ヶ月を経過する日のどちらか早い方が提出期限となります。

事前確定届出給与に関する届出書の提出期限

  1. 株主総会での決議の日から1ヶ月を経過する日
  2. 会計期間開始の日から4ヶ月を経過する日
  3. ①と②どちらか早い方

事前確定届出給与に関する届出書には付表があり、付表は支給する役員の人数分提出する必要があります。

付表では上記の部分に賞与の予定日と金額を記入します。

この事前確定届出給与に関する届出で特に注意しなければならないのは提出のタイミングです。税務署としては直前の役員への賞与は税務署としては法人の利益調整とみなしますから、提出期限には気を付けましょう。

手順3.予定通りに実際に支給

事前確定届出給与に関する届出書を提出した場合、その届出書で記載した予定通りに役員に対して賞与を支給しましょう。後ほど詳しく紹介しますが、予定通りに実際に支給していない場合、税務署から否認(損金と認められない)されてしまうケースもあります。

役員賞与による社会保険料削減の注意点

社会保険が削減されメリットばかりに見える役員賞与を活用した節税方法ですがいくつか注意しなければならないこともあります。

不当な社会保険料削減を規制

不当な社会保険の節税を防止するため、昨今では「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについての一部改正」が行われています。

年4回以上支給されるものであれば報酬とみなされ12分割して通常の給与に加算された金額が標準報酬月額の対象(社会保険料を計算するための基礎金額)とされることや、賞与を分割で受け取ることに対する規制など、基本的にはこれまでの社会保険料削減のための抜け道に対して厳しい扱いになってきています。

今後従来の社会保険料の節税方法が使えなくなる場合もありますので、社会保険の節税については最新の通達や変更について専門家にご相談することをお勧めします。

役員賞与は妥当な金額に

役員賞与の金額が妥当な金額でない場合は損金不算入となる場合もあります。損金に認められないとその分利益に加算されますので、税金は高くなってしまいます。この役員賞与が妥当な金額かどうかの判断は、実質的に妥当かどうか、また形式的にも妥当かどうかで判断されます。

実質的な判断基準

実質的な判断基準とは具体的に、職務内容と照らし合わせて妥当かどうか、また法人の収益状況から見ても適正な範囲内かどうか、その他同業他社と比較して金額が妥当かどうかなど、実質的な側面から判断されます。

形式的な判断基準

形式的な判断基準は「株主総会」などの形式的な部分との妥当性があるかどうかの判断基準です。具体的には株主総会で決議された金額に沿っているかどうかなどで判断されます。

役員賞与を支払えなかった場合

役員賞与は実際に予定されていた日に支払うことが前提のため、支払えなかった場合にその金額は損金とならない場合があります。またそれだけではなく、税務署に事前に届け出た金額よりも多く支給した場合や少なく支給した場合にも損金不算入となります。

ここでいう損金不算入とは、届出との差額分だけが損金不算入となるのではなく、支給額全額が損金不算入となることを言います。例えば賞与として300万円の届出をして実際に100万円しか支払えなかった場合、差額の200万円が不算入となるのではなくて300万円全額が損金不算入となってしまうのです。

もし事前確定届出給与に関する届出書を提出しているにもかかわらず経営悪化等の理由により「その金額を支給しない」となった場合は「賞与辞退の申出書」や「不支給決議の議事録」などの記録を残しておくことが必要です。

場合によっては役員の報酬請求権が残ってしまい、後々トラブルとなってしまうこともあります。また予定していた賞与分に対しての源泉所得税が発生する場合もあるので注意しましょう。

役員賞与を活用し社会保険を節税するには専門の税理士に相談

役員賞与を活用することにより社会保険料を削減することができます。その理由は賞与に設定されている社会保険の上限の差にあります。しかし安易にこの節税方法を使うことは危険です。

タイミングや必要な手続きを踏まないと役員賞与として損金に認められない場合があります。役員報酬を支払う場合には「株主総会での決議」、「事前確定届出給与に関する届出書の提出」、「予定通り支給すること」など注意しましょう。

ただし昨今では不当な社会保険の削減に対して厳しくなっているので最新の通達なども確認する必要があります。

またその他、社会保険料を削減できるということは「経費が少なくなる」ということでもあります。法人税などを含めたその他の税金との兼ね合いもありますので、役員賞与を活用して社会保険を削減したい場合、社会保険も含めた広い範囲での節税に精通した弊社の節税コンサルティングサービスにご相談ください。

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