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利益の繰り延べとは?法人節税での活用方法、メリットと注意点

利益の繰り延べとは?法人節税での活用方法、メリットと注意点

2020/1/30

会社に利益がでたときは、そのまま法人税を支払うよりも、利益を繰り延べし、最終的に節税に結びつけるほうが、メリットがあります。節税によって会社に留保するお金を確保できれば、将来まとまった費用が必要なシチュエーションでも活用できるからです。ただ、単に利益を繰り延べるだけだと、節税にはなりません。今回はこの記事で、効果的な利益の繰り延べ方法について、ポイントや注意点をご紹介します。

法人における利益の繰り延べとは?

保険や共済などを活用して利益を損金算入して含み資産を作ること

利益の繰り延べとは、会社で利益が出た場合、本来は該当事業年度に支払うべき税金を、次年度以降に繰り越しすることです。

具体的には、保険や共済などによって利益を損金算入し、簿外資産(含み資産)を作ります。
簿外資産とは帳簿(貸借対照表)に載らない資産で、いわゆる貸借対照表に記載されない資産のことです。将来のための貯金のような存在で、いつでもお金を受け取れる状態で内部留保するイメージです。

例えば、生命保険を解約した際に受け取る解約返戻金です。保険積立金より高額の解約返戻金を受け取った場合、差額の得たお金は貸借対照表には記載されない簿外資産となります。
簿外資産があれば、将来、赤字経営で会社の経営が苦しくなったり、大規模な設備投資が必要になったりして現金(資金)が必要なときに活用できます。

利益の繰り延べと節税との違い

利益の繰り延べは、該当事業年度に納めるべき税金を繰り越すだけなので、繰り延べたからといって節税につながりません。
繰り延べをした上で、最終的に何らかのアクションを起こすことによって、ようやく節税効果が生まれることになります。

法人の節税につながる利益の繰り延べ方法

法人保険に加入する

法人保険への加入は、大幅な利益が出たときの相殺や、利益の繰り延べによる節税を目的として、よく行われる方法です。
法人保険に入れば、保険料として支払うことで、全額または一部を経費計上できます。加えて、帳簿上に出た利益を繰り延べ、保険料は簿外資産として蓄積できます。

保険の解約返戻金を費用支払いに充てることで節税に

ただ、保険を契約しただけでは単なる利益の繰り延べで終わってしまうため、タイミングを見て解約し、解約返戻金を受け取ります。
受け取った解約返戻金は、何らかの費用の支払いに充てます。保険解約金としての利益を経費で打ち消すことにより、最終的には節税につながります。

つまり法人保険に加入することで、資産を簿外に移すことができ、解約したときに何かの経済的イベントによって経費計上することで、節税につながるということです。
解約返戻金が必要になる時期や、解約返戻金のピークを予測できる場合は、逆算して法人保険に加入し、利益を繰り延べるのもひとつです。

決算時期直前であっても、法人保険の年払いに加入すれば、まとまった額を経費計上できるとともに、利益の繰り延べが可能です。
来期分に計上するはずだった経費を今期に計上することになりますが、ひとまずの節税には効果が期待できるでしょう。

法人保険のメイン用途は節税と貯蓄。個人保険とは性質が大きく異なる

ちなみに、法人保険と個人保険とでは、性質に大きな違いがあります。
個人保険はあくまで不測の事態に陥ったときの保障が目的であり、掛け捨てや貯蓄タイプなど種類も豊富です。対する法人保険は簿外資産を作り、節税につなげるのが目的です。
法人保険は利益を繰り延べし節税するために、貯蓄性があり解約返戻金が多い積立保険がメインです。掛け捨てタイプはほとんどないのが特徴です。

中小企業退職共済に加入する

中小企業退職共済への加入も、節税に効果的です。
中小企業退職共済は、文字通り中小企業を対象にし、役員を除く全従業員が加入できる共済制度です。毎月の掛け金を経費計上でき、従業員の退職時には中小企業退職共済から退職金が支払われます。

中小企業倒産防止共済に加入する

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入した場合も、毎月の掛け金を経費計上が可能です。
中小企業倒産防止共済は、事業を行う上で得意先の倒産や不渡り手形が発生し、資金繰りが悪化した場合に無担保無保証で資金の貸付を受けられる制度です。

貸付金額は無利息で掛金の総額10倍までの額、返済は5年の均等返済です。
掛金は毎月5,000円から20万円までです。毎月の掛け金は経費にでき、節税になるとともに、40か月以上かけ続けた場合は、解約しても掛金の全額が返金されます。

法人保険等で利益の繰り延べをするメリット

解約返戻金を退職金や修繕費等に活用できる

法人保険で利益の繰り延べをするメリットは、解約した際に受け取る解約返戻金を原資として、まとまった金額が必要となる資金に充てられることです。
例えば役員退職金や大規模修繕費、設備投資、開発費用などです。

特に役員退職金は支払った金額の多くを損金算入できますし、役員報酬や勤続年数等によってはすべて損金算入できるケースもあります。
個人としても退職金は税金の控除が大きいため、手取りが増えるメリットもあります。

また、内部留保によって設備投資や開発を目的として会社にお金を貯める場合は、法人税がかかります。
ゆくゆく修繕やリフォームが必要になったとき、解約返戻金で費用の支払いができるように、法人保険等を活用することで費用を確保しつつ、入金された利益(解約返戻金)を支払いで相殺することにより、節税にもつながります。

解約時に利益を出すことで経営安定化

法人保険等を活用し、利益の繰り延べを行うことは経営の安定にも効果が期待できます。繰り延べし、簿外資産を作ることで将来の不測の事態に備えて、含み資産を作ることができるからです。
いざというときは解約し、返戻金を活用できる状態にしておけば、経営危機が起こっても乗り切れる可能性が出てくるでしょう。

解約返戻金は、資金繰りの悪化や、赤字の状態で銀行に融資を申し込む際も活用できます。返戻金によって赤字を消し、黒字の状態で申し込めば、銀行の信用度を上げることもできるはずです。

保険解約時に別の経費を計上することで節税にも

保険を解約した際、オペレーティングリースなどの投資節税商品を利用することで、さらに利益の繰り延べをすることも可能です。
オペレーティングリースの例としては、飛行機や船舶などへの投資などがあります。

500万円程度の投資商品もあれば、10億円規模のものまでさまざまなので、節税したい額に対応する商品を見つけられるでしょう。
オペレーティングリースの期間は5~8年が一般的で、減価償却により経費計上が可能です。

節税対策で利益繰延をするときの注意点

解約時の「出口対策」を意識する

利益の繰り延べをする場合は、「出口」を事前に考えておくことが大切です。
解約時の「出口」とは、繰り延べた利益を最終的にどのような方法で利益を相殺し、節税に結び付けるかということです。

毎月支払う保険料は、全額または一部を経費計上することで節税するとともに、簿外資産も貯められます。
しかし、解約するとなると今まで積み立てたお金が解約返戻金として入金されことになり、結局利益が発生します。解約返戻金と保険積立金との差額に対して、法人税が発生します。

利益を繰り延べ、かつ節税するには、一旦簿外に出した含み資産(利益)を、役員退職金や大規模修繕費の原資など、別の大きな支払い(経費)に充てる必要があります。
「出口」となる使い道を用意することで、利益(解約返戻金)を打ち消し、節税することができるからです。大きな赤字が出ている場合は、解約返戻金を赤字の補填に活用することもできるでしょう。

活用例:毎年100万円分の利益を繰り延べ、修繕費で相殺する場合

損金算入できる金額や解約返礼率は、加入する保険によって異なりますが、ここでは40%を損金算入でき、解約返礼率を85%と考えて一例をご紹介します。

例えば法人保険に加入して、毎年100万円分の利益の繰り延べを行い、10年後に解約するときに修繕費を経費に計上する予定を立てたとします。
さらにこのとき、10年間の保険料は40%を経費として損金算入できるので、残りの60%が資産計上できる分になります。

毎年100万円の保険料を10年間かけた場合、保険料の支払総額は1,000万円です。
このうち400万円は経費計上したことになり、残りの600万円は資産として積み立てたことになります。

10年間の保険料(100万円x10年)
1,000万円
経費(損金算入分) 資産積立
400万円 600万円

加入する保険の10年後の解約返礼率は85%なので、支払総額のうち、850万円が会社に戻ってくることになります。
ですが、益金(利益)として課税対象になるのは、10年間で支払った保険金のうち250万円だけです。
(残りの600万円は、資産計上したものが返ってくるだけなので、益金とはなりません。)

解約返戻金(85%) 850万円
うち課税対象額 250万円

したがって、解約返戻金として戻ってきた850万円のうち、法人税等の課税対象となるのは250万円ということになります。
もし法人税等の税率が約30%だった場合、

 250万円×30%=75万円

が法人税等で課税されます。
ですが、ここで、解約返礼時期に合わせて修繕費として250万円を計上すれば、益金と相殺でき節税することが可能です。

利益の繰り延べだけでは節税につながらない

 
利益の繰り延べによって節税をする場合は、「利益の繰り延べ≠節税」であることを押さえておきましょう。
利益の繰り延べ自体は、単なる利益が出た分の法人税を、次年度以降に先送りするだけだからです。

例えば法人保険に加入しても、保険単体にはあくまで帳簿の外に利益を移し、簿外資産をつくる働きしかありません。
さらに、帳簿外に移し、積み立てた資産も、どこかのタイミングで解約すれば、利益として帳簿に戻ってきます。

もし黒字決算になるようなタイミングで解約した場合、結局これまで支払わないでいた法人税を払うことになります。
解約返戻金を何らかの経費として活用しなければ、単純に利益を繰り延べしただけで節税効果までは得られないでしょう。

使い道が決まっていない場合は逓増定期保険の名義変更

節税目的で法人保険に加入する場合、解約返戻金を何の経費として使うか決まっていない場合は、逓増定期保険の名義変更をする方法もあります。
契約者を法人から社長や役員個人へ名義変更すると、簿外に移した含み資産を社長個人に移すことができるからです。

数年後に役員退職金や大規模修繕などの予定があれば、その時期が解約返礼率のピークになるよう、利益を繰り延べできる商品を活用するほうが節税には効果的です。
しかし、解約返戻金を使うタイミングが予測できない場合は、名義変更で利益を移す方法を検討するのもひとつです。

保険解約のタイミングで返戻金が支払い額より少なくなる場合も

保険解約のタイミングにも注意が必要です。
一般的に、ある程度の年数をかけ続けないと解約返礼率は上がらず、1~3年で途中解約をすると返戻金が支払額より少なく、損をする可能性が高いからです。
最終的に節税するためといっても、加入する際は、経営に支障が出ない範囲の保険料ですむように検討しましょう。

さらに保険の種類によっては、解約返礼率にピークがあり、一定期間を過ぎると徐々に下がる設定になっている場合もあります。
どの時点で解約すればもっとも効率的か、タイミングを考えて加入することも大切です。

利益の繰り延べで節税するには資金の余裕も必要

節税のため、法人保険による利益の繰り延べを行うには、会社の資金面に余裕があることも大切です。
保険に加入すれば、保険料という支出が発生し、会社から現金が出ていくことになるからです。帳簿外に含み資産を作れることは魅力的ですが、同時にキャッシュフローの面ではマイナスになるでしょう。

赤字で業績が悪いからといって、保険に加入してはいけないわけではありません。ですが、資金繰りに困っている状態であれば、現金が減ることは得策とはいえないでしょう。
赤字であれば、あえて経費を増やす必要がないからです。
そもそも、万が一の事態に備えるのであれば、赤字の場合は掛け捨ての保険に加入するほうが分厚い保障を受けられる可能性もあります。

節税は、目先の状況だけ見て行動するのではなく、会社にとって本当に必要かどうか見極める必要があります。
会社の資金状況に余裕があり、さらに今後大きな経費が必要になる可能性がある場合に、利益の繰り延べで節税につながる制度を利用する、という流れを大切にしましょう。

法人保険等で利益の繰り延べを行うのも節税対策のひとつ

単純な利益の繰り延べにならないよう解約時の戦略が効果的な節税のポイント

会社に利益が出たときは、法人保険等による利益の繰り延べを行うことで、節税対策が可能です。利益の繰り延べにより簿外資産を作れば、大きな支出が必要なときに活用できるからです。

ただ、利益の繰り延べはあくまで課税を先送りするであることを留意しましょう。繰り延べた利益(含み資産)が会社に戻ってくると税金が発生します。最終的に節税するには、退職金や修繕費、設備投資など、何かしらの使い道を考え、利益を相殺する必要があります。

また、利益の繰り延べに法人保険等を活用すると、一時的でも会社からお金が出ていくことになります。業績が安定し、資金繰りに余裕がある状態でなければ、利益の繰り延べをしてもメリットはあまりないでしょう。

利益を繰り延べによる節税は、会社の状況や将来を中長期的な視点で見通し、余裕があれば行い、効果的に使えるタイミングを見計らうことが大切です。
実際の保険内容(全体の加入期間、加入後の経過期間など)によっても損金と資産積立の割合、解約返戻金の額も変わります。
節税へのアプローチもそれぞれ異なってくるので、法人保険の活用について詳しくは、法人の節税に精通した税理士やコンサルティングサービスへの相談をおすすめします。

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