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銀行は融資審査で決算書のどこをチェックする?審査を通りやすくするポイント

銀行は融資審査で決算書のどこをチェックする?審査を通りやすくするポイント

2020/5/27

銀行の融資審査で重視される決算書。重視されるのは、「会社の健康診断書」といわれることもあるように、企業の業績や状況を表す書類だからでしょう。今回は銀行の融資審査で、決算書のどこが見られやすいかをご紹介します。少しでも審査を通りやすくするためにも、ポイントを押さえておきましょう。

決算書が銀行の融資審査で重要視される理由

銀行の融資審査では、決算書に問題があると融資後の債務不履行リスクも高まると考えられています。お金を貸す銀行にとって、「きちんとお金を返してもらえるか」が、融資判断の重要なポイントだからです。
決算書は会社の返済能力を表す有効な資料であり、決算書に問題があれば融資審査も厳しくなるのが一般的です。

2015年以降、金融庁から金融機関に対し、財務情報だけでなく企業の将来性や事業内容等による「事業性評価」で融資の判断するよう指針が出されました。指針により、融資審査は決算書の内容だけでなく、経営者の聞き取りや補足資料なども含め、総合的に判断されるようになっています。とはいえ、決算書の内容が重要視されることに変わりはありません。

銀行の融資審査で見られる決算書の内容

銀行は融資審査で、決算書のさまざまなポイントをチェックしています。項目ごとに、何を見られやすいか押さえておきましょう。

売上総利益や営業利益は黒字か赤字か

決算書でまずチェックされるのは、利益が黒字かどうかです。
利益が大きければ、融資をしても安定した返済が期待でき、投資に回せる金額も増えることで企業としての成長性も見込めます。
反対に赤字が大きいと、返済能力に不安を持たれやすくなります。

会社の「利益」には、売上総利益や営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、税引き後当期純利益など、いくつか種類があります。
中でも売上から原価を除いた売上総利益が赤字だと、会社全体が原価割れを起こしている可能性が高く、融資だけでなく会社の運営自体もよくない状態といえます。

一方、営業利益が黒字なら、融資審査においてプラスの評価となります。売上総利益から人件費や地代家賃などを差し引いて算出する営業利益が黒字なら、本業の利益が黒字ということになり、会社は健全な状態だと判断できます。
支払利息等も差し引いた経常利益がプラスなら、銀行の評価はさらに高まるでしょう。経常利益が黒字ということは、利息を払ってもプラスのままであり、会社として安定している状態だからです。

過去の利益推移も含めて経営のバランスをチェックする

融資審査では、直近だけでなく数年度の決算書の提出を求められることが多いです。銀行は過去から直近までの利益の推移を見て、経営状況を判断します。

例えば、直近が黒字でも、その前の事業年度が赤字の場合は、一時的な黒字と判断されるかもしれません。あるいは、利益が急に増えたり、減ったりした場合には、その要因について聞かれることになるでしょう。
一方、数期連続で黒字であれば、銀行の評価は高まるはずです。

純資産の状況

純資産がマイナス≒債務超過状態の会社は破綻リスクが高い

融資審査では、貸借対照表における純資産がプラスかどうか、債務超過や累積損失になっていないかも確認されます。

純資産がマイナスだと、債務が資産を上回る「債務超過状態」といえます。
債務超過状態は、当初出資した資本金を超える損失が出ていることを表します。破綻リスクが高いとは判断されずとも、融資審査では厳しい目で見られるのが一般的です。銀行の格付けでも「要注意先」以下にされてしまう可能性があるでしょう。きちんとした経営改善計画があることをアピールする必要があります。

純資産はプラスが望ましいですが、プラスでも累積損失が出ている場合は、銀行の評価が低くなります。
累積損失は、創業から現在に至るまでの利益の合計がマイナスの状態であることを示すため、早期に解消する予定を示すことが大切です。

売掛金や買掛金の状況

残高が不自然ではないかをチェック

売掛金や買掛金の残高に不自然なところはないかも確認されるポイントです。
具体的には、

  • 決算書では平均月商に対して売掛金の残高が何カ月分あるか
  • 不自然に残高が多くないか
  • 買掛金は月の平均仕入れ額に対して、推定有高と整合性が取れているか

などの部分です。

売掛金は売上高と連動しているはずなので、不自然に多い場合は売掛金の架空計上や、不良債権の発生による資金繰りの悪化などが疑われるからです。また、買掛金も多すぎる場合は資金繰り難や支払い繰り延べなどの可能性をチェックされるでしょう。もし事情があって、売上高の伸び率より売掛金の増加が大きい場合は銀行側に説明するようにしましょう。

現預金残高の傾向

売上規模とのバランスをチェック

決算書の現預金残高は、急増や急減をしていないか、売上規模と比べて十分な残高があるかなどがチェックされます。
現預金残高の金額が少なすぎる場合は資金繰り悪化の可能性があり、反対に現金が多すぎる場合は粉飾の可能性があるからです。
その他、どの金融機関に預金口座を持っているかについても確認されます。

棚卸資産の状況

売上に対して棚卸資産が急増していないか

決算書で棚卸資産が急増していないか、回転期間が長期化していないかなども、銀行の融資審査ではチェックされます。
棚卸資産が増加しても、売上高も連動して増えて入れば問題視されることはありません。
しかし、売上高の伸び率に対し、大幅に棚卸資産が増えていると、不良在庫や架空計上を疑われることがあります。架空在庫を計上すると棚卸資産が増える分、利益も大きくなり、帳簿上は黒字に見えるためです。
棚卸資産が増えた場合は、理由や事情を説明できるようにしておきましょう。

減価償却費の状況

減価償却費が適正に計上されているか

償却資産についても、決算書できちんと減価償却費が計上されているかが確認されます。
適正な減価償却が行われていないと、利益を水増しをしていると疑われるので気を付けましょう。

借入金の残高

経営状態に対し借入残高が大きくないか

銀行の融資審査では、会社の規模や経営状況に対し、借入金の残高がどの程度の割合を占めるかについても決算書で確認されます。
一般的に、月商の3か月分までが借入残高の目安とされており、6か月以上だと融資審査でネガティブなイメージを持たれやすいようです。

ただ、業種によって適正な借入残高の範囲は異なります。
あくまで目安にはなりますが、借入残高が大きい場合は、新たな融資を申しこむ際、資金繰り計画表等を作成し、しっかりした返済計画を伝える必要があるでしょう。

仮払金や短期貸付金等の有無

私的流用や使途不明金の疑いがないか

仮払金や短期貸付金などは、いわゆる「雑勘定」と呼ばれる項目です。
雑感情の金額が大きいと融資審査で私的流用や使途不明金など、ネガティブな印象を持たれやすいため、なるべく決算書には残らないほうがいい項目でもあります。

例えば仮払金は、出張旅費の前渡しなど、取引発生時に適切な費用に計上できない場合、後から精算する目的で先払いしたお金です。
本来は期末に残高0になるはずなので、残高が多いと資金の私的流用や使途不明金の疑いを生むことになります。

また、貸付金も所定の期日に返済してもらう約束で貸し出すものなので、期末までに返済が終わり、数字は残らないはずです。
さらに毎年同じ金額が計上されていると、不良債権とみなされ、格付けが下がるリスクもあります。

私的流用等を疑われないようにするためにも、仮払金や貸付金が残る場合は資金使途や返済条件など、銀行側に明確な理由を示せるようにしておきましょう。

自己資本

企業としての安全性の高さをチェックする

決算書の自己資本比率が高いほど、融資審査では安全性が高いと判断されます。
増資の有無や、純資産の額、自己資本比率などです。自己資本比率は純資産を資産で割って算出します。

決算書から銀行の融資審査を通りやすくするポイント

利益を増やす

銀行の融資審査では、利益が出ているほど評価は高くなります。売上高を伸ばし、経費を減らすことで、利益を増やし利益率を高めることにつながるでしょう。

営業外収益を売上に変える

決算書において利益を増やすためには、営業外収益の中に「売上」として計上できるものがないかチェックすることが方法のひとつです。

営業外収益とは、会社がメインで行う営業活動以外で得た収益のことです。
例えば本業とは別で不動産投資をしている場合や、会社名義の不動産を賃貸している場合などは、営業外収益を得ることが多いでしょう。

営業外収益を「売上」に変更することで、売上総利益や営業収益の数字は増えることとなり、決算書の印象も変わってくるはずです。

販売管理費の調整

利益を増やすにはコストを減らすことも効果的なので、販売管理費のマイナス項目を増やすことで、営業収益を増やすことができるでしょう。

例えば従業員に社宅を提供しているのであれば、従業員の家賃負担分を会社の販売管理費とすることが可能です。家賃負担分を販売管理費に計上する家賃から差し引けば、その分営業収益を増やすことができます。

会社によっては、事務所の一部を他社に貸し出し、家賃や水道光熱費を得ていることがあるでしょう。貸し出している場合、一旦家賃や水道光熱費を立て替え、あとで貸し出し先から徴収するようにすれば、全額を販売管理費にできる可能性があります。立て替えた分を販売管理費の家賃、水道光熱費から減額すれば、営業収益は増えるはずです。

貸倒引当金の調整

経費の一種である貸倒引当金の金額を減らすのも利益を増やす方法のひとつです。
貸し倒れ引当金は、売掛金や貸付金などを翌期に回収できないと判断した場合に、当期の回収不能見込額として計上するものです。

なお、法人の場合、貸倒引当金は前期の数値を参考にせず、当期のみで調整する「洗替法」を使用するのが原則とされています。ですが、当期の設定額と前期残高の差額を基準とする、差額補充法を使用して計上しても問題はありません。

自己資本比率を高める

返済が不要な自己資本比率を高めることで、融資審査は通りやすくなります。自己資本比率は30%が平均とされていますが、数値が高いほど、銀行からも高い評価を得やすいとされています。

自己資本比率を高める主な手段としては、経営者等が現金や現物を出資し、自己資本の割合を増やすことがひとつです。
あるいは、売掛金の回収や在庫を減らすなどして、総資本を減らす方法も効果的です。その他、役員借入金を債務免除する方法もあります。

未収入金をできる限り減らす

未収入金は本業以外で生じた利益において、未回収のお金をいいますが、融資審査では未収入金の額が大きいと評価が下がる可能性があります。営業上の債権や、雑種入の中で売上に計上できるものは売掛金として計上し、できるだけ未収入金の金額は減らすようにしましょう。

特別償却と圧縮記帳の活用

特別償却と圧縮記帳の活用で、融資審査での決算書の評価を高めることができます。
特別償却で計上した資産は、通常より多い経費を計上できますし、固定資産の購入に圧縮記帳を活用すれば、火災保険金や補助金、保証金などを課税対象から外せるからです。

決算書で特別償却を計上する場合は、剰余金処分方式を使って特別償却準備金を積み立て、法人税申告書の別表上で処理すると、決算書上の利益を増やす効果が期待できます。
圧縮記帳をする際は、積立金方式を用いた圧縮積立金で処理すれば、決算書上の利益を減らすことができるでしょう。

退職金や商品廃棄損は特別損失に計上する

退職金や商品廃棄損が出た場合は、特別損失に計上することで銀行の融資審査の評価を高められることがあります。

特別損失は会社の本業とは関係ない損失です。退職金が人件費ではなく、特別損失に計上されていると、銀行側に一時的な損失と受け取ってもらいやすいでしょう。役員の退職金や、一般従業員でも通常退職金を支給していない場合、早期退職に対して退職金に加算された金額については特別損失として計上できることがあります。
ただし、毎期ごとに退職金が生じる会社の場合は、特別損失に計上するのは難しいかもしれません。計上する際は、顧問税理士とも相談したほうがよいでしょう。

偶然商品が破損したり、腐敗したりした場合も、売上原価として計上するより、特別損失として計上したほうが売上総利益や営業利益、経常利益を増やすことにつながります。
一方、売上原価に計上すると、実際には売り上げが生じないので原価管理がしづらくなるなど、デメリットがあるでしょう。

役員借入金の処理は適切に

貸借対照表には役員が会社に対して貸し付けたお金(役員借入金)を記載しますが、長期借入金や短期借入金で計上すると、有利子負債と判断されることがあるので注意が必要です。
有利子負債とは、会社が今後負担する利子が増えるお金を指します。

処理をする場合は、「役員借入金」の勘定科目を別表記するようにしましょう。例えば契約書を交わしていて1年以内に返済予定の元本は、流動負債に「役員借入金」として計上します。1年を超える返済予定の場合、あるいは契約を交わしておらず返済予定も明確でない場合は、固定負債に計上します。

決算書の内容をしっかりと把握しておく

決算書の作成は顧問税理士に依頼することも多いでしょうが、任せるだけでなく自社の決算内容をしっかり把握するよう努めましょう。決算書で銀行の融資審査の評価を高める上で、質問に的確な回答ができるようにしておくことも大切です。融資審査のときだけでなく、日ごろからこまめに財務状況をチェックする意識を持つことも重要です。

会社の将来性をアピールする

銀行の融資担当者も、データだけで会社のすべてを判断できるわけではありません。

決算書の内容は把握するだけでなく、分析から経営計画を作成し、融資審査で会社の将来性についてアピールしましょう。
経営計画書を作成する際は、過去の経営実績を客観的に見て、今後の事業に関して明確なビジョンをまとめることがポイントです。

銀行が求める情報や経営計画は積極的に開示する

銀行の融資審査では、決算書以外にも補足資料として勘定科目明細などの提出を求められることがあります。
勘定科目明細などの資料提出は拒否することもできますが、拒否すると情報開示に消極的と判断され、マイナス評価となる可能性があります。
決算書を正しく評価するための資料でもあるので、補足資料や情報の開示を求められた際は、積極的に開示するようにしましょう。

銀行の融資審査は黒字の決算書かどうかが重要

会社の将来性や成長の伸びしろを決算書を通じてアピール

銀行の融資審査では、決算書が黒字であることが重要です。利益を増やすためには、勘定科目で調整できるところは調整し、経費を減らすのもひとつです。処理について不明な点は顧問税理士等に相談することもおすすめします。

なお、銀行の融資審査では決算書について、不自然な点がないか細かくチェックされます。
指摘を受けても理由が説明できるよう、経営者自身も決算書の内容はしっかり把握しておきましょう。さらに銀行に対し、積極的に資料や情報を開示し、今後の経営計画についてもアピールすることが大切です。

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