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経営状態を理解する損益計算書の読み解き方

経営状態を理解する損益計算書の読み解き方

2020/6/26

損益計算書は、会社の経営状態を理解するための重要な書類です。読み解き方を知っておくことで、会社が黒字か赤字かを知ることや、会社の経営状態に問題がないかなどを把握するのに役立ちます。今回はこの記事で、損益計算書の見方やポイントについてご紹介します。

損益計算書とは

損益計算書は会社の経営状態の「診断書」

損益計算書とは財務諸表のひとつで、1年間で会社がどの程度儲かったか、あるいは損したか、経営成績を表す書類です。英語では「Profit and Loss Statement」ということから、略して「P/L」と呼ばれることもあります。

損益計算書は会社の経営状態の「診断書」にも例えられます。損益計算書を細かく見ていくと、どの事業でどれだけ利益や損失が出たか、収益を得るためにコストはいくらかかったかを知ることもできます。さらに本業と本業以外のどちらで利益が出たか、黒字と赤字との境界線である「損益分岐点」を見極めることも可能です。損益分岐点とは、どこまで売上を上げれば黒字になるか、どこまで売上が落ちたら赤字になるかの判断目安になります。

損益計算書に書かれる項目

損益計算書は大きく、「収益」「費用」「利益」の3つの項目から成り立っています。収益から費用を差し引くことで、いくら利益が残っているかを知ることができます。

収益:会社が得たお金

収益はこの1年間で、会社がどれだけお金を稼いだかを示すもので、「売上高」と「営業外収益」、「特別利益」の3つに分けられます。営業外収益は、「営業外利益」と呼ばれることもあります。

費用:収益を得るためにかかったお金

損益計算書における費用は、収益を得るためにかかったお金で、何にどれだけお金を使ったかを表します。費用は主に「売上原価」と「販売管理費」、「営業外費用」、「特別損失」、「税金(法人税、住民税及び事業税)」の5つに分類されます。

利益:収益から差し引いたお金

損益計算書において利益とは、収益から費用を差し引いたものです。利益は主に「売上総利益」と「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」の5つに分けられます。

損益計算書に書かれる主な項目
収益 1年間で会社がどれだけお金を稼いだか 売上高 会社の主となる商品やサービスを販売・提供するなど、営業活動の対価として得られる収益
営業外収益(営業外利益) 本業の営業活動以外の財務活動による収益
特別利益 本業と無関係で一時的に発生する利益
費用 収益を得るためにかかったお金 売上原価 売上高に対する商品の仕入れや製造にかかる費用
販売管理費 人件費や家賃など本業の営業活動に必要な経費
営業外費用 本業の営業活動以外の財務活動で、継続的に発生する費用
特別損失 本業と無関係で臨時的に発生する損失
税金 法人税、住民税及び事業税
利益 収益から費用を差し引いたもの 売上総利益 会社の主力商品やサービスによって得た利益を示すもの
営業利益 本業の営業活動によって得た利益
経常利益 会社の本業・本業以外を合わせたすべての事業活動から得られた利益
税引前当期純利益 法人税など今期納めるべき税金を支払う前の利益額
当期純利益 税引前当期純利益から法人税等を差し引いた会社の最終的な利益

損益計算書の5つの利益

前述したとおり損益計算書の利益は、5つの種類に分類されます。5種類を段階的に表すことで、何に売上が上がり、売上に対しどの程度コストが発生したかを把握できる仕組みになっています。それぞれの利益を詳しく見ていきましょう。

売上総利益(粗利):会社の商品・サービスで得た利益

売上総利益(粗利)は、会社の主力商品やサービスによって得た利益を示すもので、経営状態が健全かどうかを知る指標として有効です。例えば、売上総利益の数字が大きければ大きいほど、後に算出する営業利益や経常利益も大きくなります。反対に、売上総利益がマイナスになれば、損失も大きくなるため注意が必要です。

売上総利益の計算方法は下記の通りです。売上原価が少なければ少ないほど、得られる利益(儲け)も大きくなります。

売上総利益の計算方法

売上総利益=売上高-売上原価

売上高とは、会社の主となる商品やサービスを販売・提供するなど、営業活動の対価として得られる収益です。売上とも呼ばれることもあります。

売上原価は売上高に対する商品の仕入れや製造にかかる費用をいいます。例えば製造業の場合は販売した製品の製造原価が売上原価になり、卸売業は商品の仕入れ原価が売上原価になります。なお、売上原価は販売した商品のみが算出され、売れ残った商品の仕入れ額は売上原価に含まれません。

営業利益:本業で稼いだ利益

営業利益は本業の営業活動によって得た利益で、売上総利益(粗利)から、人件費や家賃など本業の営業活動に必要な経費(販売費および一般管理費)を差し引いて算出します。売上総利益が高くても、経費が多すぎる場合は、営業利益も低くなります。営業利益が低い場合は、販売費および一般管理費の内容を分析し、見直す必要があるでしょう。
なお、ここでいう「本業」とは、定款に記載されている事業目的を指します。

営業利益の計算方法

営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費

販売費および一般管理費は、売上原価に該当しない通常の業務にかかる費用です。販売費は商品を宣伝するための広告費用が該当します。一般管理費はオフィスやテナントの家賃、人件費、通信費、交際費などをいいます。

経常利益:会社の総合的な利益

経常利益は、会社の本業・本業以外を合わせたすべての事業活動から得られた利益を表します。営業活動だけでなく、投資や財務活動まで含めて算出する利益なので、会社の総合的な実力や、経営状態を見極める指標となります。例えば経常利益がマイナスだと、会社の事業自体が赤字と判断されるので、事業や資金計画の見直しが必要になるでしょう。

経常利益の算出方法は下記の通り、営業利益に営業外収益(本業の営業活動以外で得た収益)を加え、営業外費用(本業の営業活動以外で発生した費)を差し引いて導き出します。

経常利益の計算方法

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益は、本業の営業活動以外の財務活動による収益です。受取利息や受取配当金、有価証券利息、有価証券売却益、雑収入などが含まれます。

営業外費用は、本業の営業活動以外の財務活動で、継続的に発生する費用のことです。支払利息、割引料、社債利息、有価証券売却損などが該当します。

税引前当期純利益:各種税金を納める前の利益

税引前当期純利益は、法人税など今期納めるべき税金を支払う前の利益額です。経常利益に、臨時的に発生した利益や損失を加減して算出します。

臨時で発生する利益や損失は、通常は発生しえない利益や損失なので、金額が大きいからといって業績の良し悪しを直接表すとは限らないのがポイントです。また、特別損失はその時だけの例外的な損失であり、金融機関の融資審査に影響することも少ない傾向にあります。

税引前当期純利益の計算方法

税引前当期利益=経常利益+特別利益-特別損失

特別利益は、本業と無関係で一時的に発生する利益をいいます。例えば不動産を売却した際に発生する固定資産の売却益や、長期保有していた株式、証券の売却益など、通常の企業活動で発生しないような利益が該当します。

特別損失は、本業と無関係で臨時的に発生する損失のことです。不動産売却時の固定資産売却損や、長期保有していた株式の売却損、火災・盗難等の災害による損失などは、特別損失に該当します。特別損失は「その時だけの例外的な損失」ですが、明確な決まりがあるわけではありません。計上する際は、損失の性質や金額によって、個別に判断することになります。

当期純利益:当該決算期における最終的な利益

税引前当期純利益から、法人税等を差し引いたものが、当期純利益(純利益)になります。会社の最終的な利益を表し、プラスであれば株主に配当金を支払うことができ、マイナスの場合は赤字ということになります。会社経営を続けていくには、当期純利益がプラスである必要があり、マイナスの状態が続くと経営状態は悪化していきます。

当期純利益の計算方法

当期利益(純利益)=税引前当期利益-法人税等(法人税+法人住民税+法人事業税)

法人税等は、会社が出した利益に応じて課される法人税、法人住民税、法人事業税の所得割を指します。

損益計算書から経営状態を読み解くポイント

損益計算書の収益・費用と実際の収入・支出とは合致しない

損益計算書を見る上で、計上されている収益・費用と、実際の収入・支出とは異なる場合があります。例えば商品やサービスを顧客に引き渡したとき、損益計算書上は売上が計上されますが、代金(現金)が未回収の場合は入ってくる時期までズレが生じます。

売上高だけで見ると、収入・支出とのズレによる資金繰り悪化に気づけない場合も

損益計算書と実際の収入・支出とでズレが生じるのは、会計の原則として、収入・支出は、実際のお金の出入りがあった時点で計上するのに対し、収益・費用は、収益が実現した時点や費用が確定した時点で計上するからです。

したがって、売上高ばかり見て経営状態を判断していると、資金繰りの悪化に気づきづらくなる可能性があります。商品やサービスの売れ行きが順調なとき、損益計算上は黒字に見えることがありますが、売上代金が未回収ばかりだと実際の資金繰りは悪くなるからです。最悪の場合、黒字倒産のリスクも生じる可能性も出てくるので注意が必要です。

実際の資金繰りを確認する際は、損益計算書だけでなくキャッシュフロー計算書も活用して把握しましょう。

売上高の上下が顧客評価のバロメーター

損益計算書において、売上高は顧客評価の判断目安とされています。売上高が下がれば、自社の商品やサービスに対する顧客評価も下がった可能性があるため、見直しが必要です。

また、通常売上高が増えれば、利益も増えるところ、売上高は伸びているのに利益が増えない場合は、経営状態に何か問題がある可能性があります。

変動費率の確認で問題の早期発見を

損益計算書では変動費率をチェックすることでも、経営状態の問題を見つけられることがあります。変動費率は、商品を販売するときに必要な変動費の割合で、商品1個あたりの販売に対し、どれだけ変動費がかかったかを表します。

変動費率の計算方法

単位変動費÷売価

変動費率が上昇すると、会社の利益も減る可能性が高いため、早急に分析し、見直しが必要です。例えば変動費率が上昇した場合は、売上原価が高くなっている可能性や、製造効率が下がり、販売管理費が上がっている可能性が考えられます。

限界利益率が下がっていないかチェック

経営状態の問題発見には、損益計算書で限界利益率をチェックすることも有効です。限界利益率は儲けの割合を示す数値で、商品1個あたりを販売したとき、どのくらいの利益が得られるかを表します。

限界利益率は変動費率と連動しており、変動費率が高くなれば限界利益率は低くなります。限界利益率が下がった場合は、1個あたりの利益も少なくなっているので、見直しが必要になるでしょう。

限界利益率の計算方法

単位限界利益÷売価

固定比率が上昇していないか確認

損益計算書では、固定比率が上昇していないかを確認することも大切です。固定比率は売上高に対する固定費(人件費や家賃、設備費など)の割合を指します。固定比率が上昇すると、知らず知らずのうちに経営状態を圧迫することがあるので注意が必要です。

固定比率の計算方法

固定費÷売上高

利益率から会社の儲けを把握

損益計算書から、会社が効率よく儲けているかを確認するには、利益率をチェックするのが効果的です。利益率には大きく「売上総利益率」と「売上高営業利益率」、「売上高経常利益率」があります。

それぞれの利益率は、いずれも高ければ高いほど、収益も効率よく上げられていると考えられます。どの利益率が高いかによって、会社の何の部分に収益性があるかを知ることもできるでしょう。定期的に利益率をチェックすることにより、会社の経営状態の安定性を把握することにもつながるはずです。

売上総利益率:売上原価に利益を上乗せできているかを知る指標

売上総利益率は粗利率とも呼ばれ、売上原価にどれだけ利益を上乗せできているかが分かる指標です。売上総利率の数値が高いほど、利益の大きい商品を販売できていることになります。ただし、売上原価の考え方は業種によって異なるため、比較したい場合は同業種や自社の過去データを用いるようにしましょう。

売上総利益率の計算方法

売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

売上営業利益率:会社が本業で稼げる力を知る指標

売上営業利益率は、会社の収益力を表します。数値が高ければ高いほど、本業で稼げる力が強いといえます。売上営業利益率も、比較する際は同業種や自社の過去データを用いるようにしましょう。

売上高営業利益率の計算方法

売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

売上高経常利益率:会社の総合的な収益力を知る指標

売上高経常利益率は会社がどれだけ稼げるか、総合的な収益力を示す指標です。売上高経常利益率は、4%以上で優良企業、5%以上は超優良企業というのが一般的な判断目安です。反対に0%を下回る場合は赤字回復のため、収益を上げるか費用を抑えるなどの対策が必要です。

売上高経常利益率の計算方法

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

わかりやすい損益計算書を作成するには?

まずは商品1個での損益の割り出しから

分かりやすい損益計算書を作成するには、商品1個あたりの限界利益を出すところから始めましょう。数字だけを見て全体像を把握しようとすると、かえってわかりづらくなることがあるからです。商品1個あたりの損益を割り出すことにより、最終的にいくつ商品を売れば、会社は固定費を賄えるかを把握することにもつながるはずです。

商品1個あたりの限界利益を出すには、商品1個あたりの売価(販売価格)から、単位変動費を差し引くことで算出できます。例えば、1個100円で商品を販売している場合は、売価を100円と考えます。

単位変動費は、商品1個当たりの変動費を指し、製品を作るための原価です。限界利益は売価から単位変動費を差し引くことで割り出せるので、商品1個あたりの変動費(原価)が30円の場合、限界利益は70円ということになります。

なお、原則として、変動費は売上に応じて変動します。変動費(原価)は製品を販売するほど必要になるためです。したがって、売上が上がるほど変動費は高くなり、売上が下がるほど低くなります。

会社の利益もコストも、単価x販売数で算出できる

商品1個あたりの限界利益が分かったら、会社全体で商品をいくつ売ったかを知るために、それぞれに販売数(売上数量)をかけてみましょう。会社全体でいくつの商品が売れたかが分かれば、会社が固定費を賄えているか、本業でいくら儲けが出たか(営業利益)を把握することにつながります。

例えば、売価が100円で単位変動費が30円、単位限界利益が70円の場合、商品の販売数が100個だった場合、売価は10,000円、変動費は3,000円、限界利益は7,000円となります。この場合、会社は固定費が7,000円までであれば、赤字にならずにすむといえます。また、限界利益から固定費を差し引いても、プラスに残る分が会社の利益ということになります。

いきなり数字全体を見るのではなく、商品1つあたりの限界利益から考える

損益計算書を作成する際は、商品1個あたりの限界利益を出してから、販売数をかけるという考え方を持ちましょう。いきなり数字を見て全体を把握しようとするより、手順を踏むことで情報が整理され、会社全体の損益やコストも把握しやすくなります。最終的に、分かりやすい損益計算書を作成することにもなるでしょう。

損益計算書は会社の経営状態の把握に欠かせない書類

正しい読み方を理解し、正確な経営状態の把握を

損益計算書は収益と費用、利益から構成されており、読み解くことで会社の経営状態を確認するのに役立ちます。特に5つの利益は、ひとつずつ見ていくことで、会社が本業で利益を得られているか、どのような損失が出たかなどを確認できます。さらに、過去のデータと比較すれば、会社の収益力が順調に伸びているか、あるいは問題を見つけることにもつながるはずです。読み方のポイントを押さえて、経営状態の把握に活用しましょう。

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