税理士の選び方 2024/11/6

税理士への相続相談に費用はかかる?

税理士への相続相談に費用はかかる?

今後の相続について相談したい、あるいは相続手続きの依頼を前提に話を聞いてみたいというとき、相談費用が気になるところです。金融機関などでも相続の無料相談窓口を設けていますが、より具体的なアドバイスを求める場合には、税理士をはじめとする法律の専門家に相談すべきです。相続に詳しい専門家には、初回無料で相談を受け付けているところが多数ありますので、相談内容に合わせて上手に活用しましょう。

相談費用がかからない相続の専門家とは?

相続の相談相手には税理士、弁護士などを選ぶのが一般的ですが、日頃そうした士業とお付き合いがない場合には、少々敷居が高く感じられます。しかし、こうした専門家はサービス業としての意識が高いところが多いので、気軽に相談することができます。

相続相談ができる専門家

敷居が高いと感じる理由には「相談しただけで、法外な料金を請求されるのではないか」という不安や「そもそも、こんなことを聞いてもいいのかな?」という疑問があります。そこで、各専門家の相談料と相続業務の範囲を整理してみましょう。

税理士

申告書の作成をはじめとする、税務全般の代行、相談ができるのが税理士です。相続において税理士は、相続税申告書の作成・申告のほか、遺言書の作成、相続税対策、遺産分割協議書の作成などをします。つまり、生前の税額シミュレーションから、亡くなった後の手続きまで一貫して相談することができます。税金の申告・相談業務、申告代理業務については、税理士の独占業務です。

初回相談料は無料としているところが多く、相談できる時間は60~90分が一般的です。相談のみの場合、2回目以降の料金は30分3,000~5,000円のところが多いようです。

弁護士

法律全般を扱う、法律のエキスパートです。弁護士資格を持つ人は、登録さえすれば司法書士や税理士などの周辺他士業の業務も行えます。法律に関することは何でも相談できますが、必ずしも相続税や登記などに詳しいとは限りません。相談、依頼をしたい内容に適した専門家を選ぶことが、現実的で合理的と言えるでしょう。

ただし、紛争となったときの折衝などは弁護士の独占業務です。遺産をめぐって争いとなった場合には、弁護士に依頼することになります。弁護士の相談費用は、30分5,000~20,000円が相場です。

司法書士

法律に関わる書類作成や手続きを、依頼人に代わって行うのが司法書士の仕事です。主に登記に関する専門家で、相続後の不動産登記などを依頼できます。

また、訴訟額140万円以下の簡易裁判であれば、認定司法書士に代理業務を依頼することができます。認定司法書士とは、特別研修を受けたのち簡裁等関係業務認定考査試験に合格し、法務大臣から認定を受けた司法書士です。紛争の金額や内容によっては、弁護士ではなく司法書士に依頼した方が、かかる費用を抑えられる可能性があります。30分程度でしたら、無料で相談できるところが多いようです。

ファイナンシャルプランナー

お金の管理や資産運用のアドバイスをしてくれる専門家が、ファイナンシャルプランナーです。相続に関しては、葬式費用や遺族の生活費に困らないための、お金の準備についてのアドバイスや、家族が亡くなったときに必要になる手続きなどについて説明してくれます。

ただし、相続税の申告や相続した不動産の登記、紛争時の折衝などの手続きをすることはできませんので、必要に応じてそれぞれの専門家を紹介してもらうことになります。相談料は、一般的に1時間5,000~10,000円程度です。

結局どの専門家に相談したらいいの?

各専門家の業務範囲と相談料をまとめたものが下記の表です。業務範囲や相談料などから総合的に判断すると、相続に関することはまず税理士に相談し、もし紛争が起こってしまった場合には弁護士、登記が必要な場合には司法書士など、他の士業を紹介してもらうのがスムーズです。

初回は相談料無料の税理士が多いですし、生前の対策から相続税申告、税務調査対応、二次相続への対策など、長期的で総合的な相談が可能です。

  税理士 弁護士 司法書士 ファイナンシャルプランナー
業務範囲 ・税務相談、相続税申告書の作成&申告、遺言書の作成、相続税対策、遺産分割協議書の作成 ・法務全般 ・遺言書、遺産分割協議書の作成、登記申請の代行
・認定司法書士は、訴訟額140万円以下の簡易裁判の代理業務
・資金運用、資金計画に関するアドバイス
独占業務 ・税務代理、税務署類の作成、税務相談業務 ・紛争時の折衝、裁判での弁護人、代理人業務 ・法務局への申請書類、裁判所への提出書類の作成・提出 ・なし
相談料 ・初回60~90分無料
・2回目以降30分3,000~5,000円
・30分5,000~20,000円 ・初回30分無料
・2回目以降1時間5,000~10,000円
・1時間5,000~10,000円

費用ゼロの相続相談で準備したいもの

無料の相続相談は、限られた時間の中でアドバイスを得る貴重な機会です。事前の準備をしっかりと行いましょう。まずは、相談内容をまとめることが重要です。例えば生前の相続対策なのか、家族がすでに亡くなっていて、遺産分割や相続税の相談なのか、はたまた遺産をめぐって遺族同士がもめて困っているのかなどです。

相続に詳しい税理士に相談した場合には、個別の問題に対して的確に助言してくれますし、専門外であれば相談内容に適した専門家を紹介してくれます。

無料相談当日までに用意しておく資料

より具体的なアドバイスをもらいたいときには、個別の内容がわかるような資料の用意が必要です。税理士によって指定する資料が多少異なるかもしれないので、事前の確認は必要ですが、一般的に相続税について相談したい場合には、下記の資料を用意しておくといいいでしょう。

財産・債務の一覧

被相続人、または今後被相続人となる方が所有している財産・債務の内容と大体の金額がわかる資料を用意します。具体的には、現金や預金がいくらぐらいあるか、土地や建物の場所や広さ、購入時期をメモします。

不動産に関しては、謄本や測量図があるとさらにいいでしょう。生命保険や株式、債券、借入金がある場合には、保険会社や金融機関からの明細があると相談がスムーズです。

親族の関係図

わかる範囲で、被相続人を中心とした親族関係がわかる家系図を用意します。相続人の数や誰がどのぐらいの財産を相続するかによって、相続税の金額に大きく影響するため、できれば被相続人の戸籍謄本を取っておくといいでしょう。

時系列のメモ

今回が家族にとって初めての相続かもしれませんし、すでに両親のどちらかの相続を経験しており、二回目の相続(二次相続)の相談であるかもしれません。あるいは、これから起こる相続に関する相談かもしれません。それによって取れる対策が異なるので、相談にいたるまでの事実関係を時系列にまとめておきましょう。

遺言書

家族がすでに亡くなっていて、遺言書を遺してある場合には、その遺言書のコピーを持参することをおすすめします。ちなみに、封印してある遺言書を発見した家族が勝手に開封するのは、法律違反です。

遺言書の開封には、相続人などの立会のもと、家庭裁判所にて検認手続きが必要です。検認が済んでいない場合には、相続相談で持参する必要はありません。

遺言作成や相続登記にかかる費用も相談可能 相続相談事例

「無料相談で、どこまで聞いていいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。ここでは、税理士の相続無料相談でどんな質問があがっているかをまとめていますので、参考になさってください。また同じ質問であっても、それぞれのケースで回答が同じであるとは限りません。

知人などからの情報は参考程度にとどめ、専門家から直接アドバイスしてもらうことをおすすめします。

相続発生前の相談例

  • うちにも相続税がかかる?
  • 相続税対策をしたい
  • 概算の相続税額が知りたい
  • 相続にかかる費用を知りたい
  • 遺言書は必要?
  • 遺言書の書き方を知りたい
  • 生前贈与の仕方を教えてほしい

相続発生後の手続き関する相談例

  • 身内が亡くなり、今後必要になる手続きを教えてほしい
  • 相続放棄の仕方を教えてほしい
  • 遺産をどうやって分けたら相続税が抑えられる?
  • 遺産分割協議書を作成してほしい
  • 相続税が払えないときは、どうしたらいい?
  • 相続開始後にできる節税対策を教えてほしい
  • 遺産分けでもめていて、どうしていいかわからない

その他の相談例

  • 不動産の名義変更には何が必要?
  • 親から相続した家を、売るべきか悩んでいる
  • 不動産を共有名義にすべきか迷っている

相続手続きや費用の疑問を解消 まずは無料相談の利用を!

多くの税理士事務所では相続の相談を初回無料で受け付けていますので、上手に利用して相続の疑問を解消しましょう。ただ、相続の相談は込み入った内容であることが多く、限られた時間では、すべての疑問や不安を解消することが難しいかもしれません。

そうであったとしても、無料相談は税理士との相性を判断するいい機会となります。その後、引き続き有料で相談をしたいか、相続税の手続きを依頼したいかなど、家族にとって最良の税理士を見つける場として、有効に活用しましょう。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる

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