遺産相続の基本 2024/11/6

相続で必要な書類一覧!役所・税務署・銀行など手続き別まとめ

相続で必要な書類一覧!役所・税務署・銀行など手続き別まとめ

相続手続きを煩雑なものにしてしまう原因として、必要書類のわかりにくさと、集めにくさがあげられます。相続手続きをスムーズに進めるために、「相続税申告」「銀行口座の相続手続き」「不動産の相続登記」などの手続きごとに必要な書類を把握することが大切です。

相続で市区町村役場への提出が必要な書類

死亡届

相続は、被相続人が死亡した日に発生します。つまり、死亡してしまった日には何もしていなくても相続がスタートしているのです。

そして相続手続きは、死亡届の提出からスタートします。死亡届を提出しないと、火葬(埋葬)や、口座の名義変更、不動産の相続手続きを行えません。

死亡届の提出先

死亡した場所、もしくは死亡した方の本籍地の市区町村役場に提出します。届出人の住所地の市区町村役場に届け出ることもできます。

死亡届の提出に必要な書類

「死亡届出書」という書類を提出します。「死亡届出書」は、死亡届と死亡診断書または死体検案書が一つになったものです。

自然死の場合は死亡診断書、事故や自殺・突然死には死体検案書が発行されます。死亡診断書や死体検案書は、葬儀社への依頼時などに必要になりますのでコピーをとっておきましょう。届出の際には届出人の印鑑が必要です。火葬を行うために火葬許可申請書の提出も一緒に行います。

「死亡届出書」の用紙は市区町村役場にも置いてありますし、葬儀社が死亡届提出手続き全般を代行するケースも多くあります。病院で死亡した場合には、病院が用意してくれますので新たに書類を取りに行く必要はありません。

死亡届の記載例<死亡届の記載例:法務省公式ホームページより抜粋>

<死亡届に必要な書類など>
届出に必要なもの 提出先 受理されるともらえる書類 注意事項
死亡届出書(死亡届と死亡診断書または死体検案書が一つになったもの) 死亡地・被相続人の本籍地・届出人の住所地いずれかの市区町村役場 火葬許可証 死亡届出書は提出前にコピーをとっておくこと
届出人の印鑑
火葬(埋葬)許可申請書

相続人の確認で必要な書類

相続手続きを開始する際に、忘れずに行わなければいけないのが、相続人の確認です。長く生活をともにしてきた家族だけが相続人とは限らないからです。被相続人に認知した婚外子や養子がいて、家族は知らないケースなどもあり得ます。

相続人全員を確認しないと、遺産分割をやり直さなければいけなくなったり、正しい相続税申告ができないなどの問題が生じてしまいます。相続人確認のためには、戸籍調査をします。戸籍調査に必要な書類をみていきます。

必ず必要な書類

被相続人の戸籍謄本

被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本が必要です。死亡時から出生時までさかのぼって取得していきます。

相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人の生存を確認するために、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。

それ以外の書類

亡くなった被相続人の子

被相続人の子が亡くなっている場合、代襲相続の有無を確認するため、上記に加えて亡くなった子の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

代襲相続

相続人が亡くなっていて代襲相続となる場合は、代襲相続人の現在の戸籍謄本と、被代襲相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

直系尊属が相続人

被相続人に子がない場合は直系尊属(被相続人の両親や祖父母)が相続人になりますが、その場合に直系尊属で死亡している人がいる場合は、死亡した人の、死亡の記載のある戸籍が必要です。

例えば、父母のうち父親がなくなっている場合、死亡の記載のある戸籍によって、母親のみが第2順位の相続人であると証明されます。

兄弟姉妹が相続人

兄弟姉妹が相続人になる場合にも、両親などの直系尊属が既に亡くなっていること及び他に兄弟姉妹がいないことを証明するために、被相続人の父親と母親の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。

<相続人の確認で必要な書類>
必ず必要 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
相続人全員の現在の戸籍謄本
先に子が死亡 死亡した被相続人の子の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
代襲相続時 代襲相続人の現在の戸籍謄本
被代襲相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
直系尊属が相続人 死亡している直系尊属がいればその人の死亡の記載のある戸籍
兄弟姉妹が相続人 被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人に子がいない場合や代襲相続時には必要な書類が多くなります。「相続人が他にいないことを証明するため」の書類と考えるとわかりやすいでしょう。また、上記の中でも被相続人の戸籍謄本で確認できるものについては、原則不要です。

銀行口座の相続手続きで必要な書類

被相続人の銀行口座の相続手続きに必要な書類は、被相続人の死亡を確認できるもの、相続人が確認できるもの、預金通帳などです。

遺言書がある場合

遺言書がある場合の銀行口座の相続手続きでは、遺言の内容によって必要な書類が異なります。一般的には下記のような書類が必要です。

遺言書

公正証書遺言以外の場合には、検認調書または検認証明書を添付します。

被相続人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)

被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本が必要です。基本的に戸籍調査の際と同じ書類で大丈夫です。

口座にある預金を相続する相続人の印鑑証明書

預金を相続する相続人の印鑑証明書が必要です。遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の印鑑証明書が必要になります。

遺言執行者選任審判書

遺言執行者が家庭裁判所によって選任されている場合は遺言執行者選任審判書が必要です。

遺言書がない場合(遺産分割協議書あり)

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合は、下記のような書類が必要です。

遺産分割協議書

相続人全員の署名・捺印(実印)が必要です。

被相続人の戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。基本的に戸籍調査の際と同じ書類で大丈夫です。

相続人全員の戸籍謄本

戸籍調査の際と同じ書類です。

相続人全員の印鑑証明書

相続人全員の印鑑証明書が必要です。

遺言書がない場合(遺産分割協議書なし)

遺言書がなく、遺産分割協議書もない場合は、下記のような書類が必要です。

被相続人の戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。基本的に戸籍調査の際と同じ書類で大丈夫です。

相続人全員の戸籍謄本

戸籍調査の際と同じ書類です。

相続人全員の印鑑証明書

相続人全員の印鑑証明書が必要です。

共通して必要な書類

被相続人の通帳等

被相続人の預金通帳や証書が必要です。

銀行所定の書類

銀行所定の相続の依頼書は、相続関係説明図や相続手続依頼書などという呼び方をすることが多いですが、内容はだいたい同じです。被相続人の住所・氏名や依頼人の情報、現預金の明細などを記入します。

相続手続依頼書記入見本<相続手続依頼書記入見本:りそな銀行公式ホームパージより抜粋>

<銀行口座の相続手続きで必要な書類>
遺言書あり 遺言書(検認済みであることが確認できる資料を添付)
被相続人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
預金を相続する相続人の印鑑証明書(遺言執行者がいる場合は遺言執行者の印鑑証明書)
遺言執行者選任審判書(裁判所によって選任されている場合)
遺言書なし・遺産分割協議書あり 遺産分割協議書
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
遺言書なし・遺産分割協議書なし 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
上記に共通して必要 被相続人の通帳等
銀行所定の書類(相続手続きを依頼する書類)

相続登記で必要な書類

相続登記で必要な書類は、被相続人の死亡を確認できるもの、相続人が確認できるもの、登記をする不動産関係の書類などです。被相続人関係・相続人関係の書類は銀行口座の相続とほぼ同じです。

遺言書による相続登記

遺言書があって、遺言書通りに相続登記をする場合には下記のような書類が必要です。

遺言書

公正証書遺言以外の場合には、家庭裁判所で検認したことを証明する書類を添付します。

被相続人関係書類

・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票

相続人関係書類

・相続登記する不動産を取得する相続人の戸籍謄本
・相続登記する不動産を取得する相続人の住民票

法定相続分割合による相続登記

遺言書も遺産分割協議書もなく、法定相続分割合で登記する場合は、下記のような書類が必要です。

被相続人関係書類

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・被相続人の住民票の除票

相続人関係書類

・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票

遺産分割協議書による相続登記

遺産分割協議書によって登記する場合は、下記のような書類が必要です。

遺産分割協議書

相続人全員の署名・捺印(実印)済みのものが必要です。

被相続人関係書類

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・被相続人の住民票の除票

相続人関係書類

・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・相続登記する不動産を取得する相続人の住民票

共通して必要な書類

固定資産税評価証明書

相続登記をする不動産所在地の市区町村役場で取得できます。

登記申請書

登記申請書は法務局のホームページからテンプレートをダウンロードできます。書式に決まりはありませんが、必要事項をもれなく記入する必要があります。

登記申請書記載例<登記申請書記載例:法務局公式ホームパージより抜粋>

<相続登記に必要な書類>
遺言書による相続登記 遺言書(検認済みであることが確認できる資料を添付)
被相続人の戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
不動産を取得する相続人の戸籍謄本
不動産を取得する相続人の住民票
法定相続分割合による相続登記 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
被相続人の住民票の除票
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の住民票
遺産分割協議書による相続登記 遺産分割協議書
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
被相続人の住民票の除票
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
不動産を取得する相続人の住民票
上記に共通して必要 固定資産税評価証明書
登記申請書

相続税申告で必要な書類

相続税の申告は、各相続人が行います。被相続人の死亡を確認できるもの、相続人が確認できるもの、取得した財産を証明する書類、特例の適用を受けるための書類などが必要です。

被相続人関係の書類

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
・被相続人の住民票の除票
・被相続人の死亡診断書または死体検案書のコピー

相続人関係の書類

・相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票
・相続人の印鑑証明書(遺産分割協議書があるとき)
・マイナンバーの確認できるもの(マイナンバーカードのコピー等)

遺産分割方法についてその他の書類

・遺言書(ある場合)
・遺産分割協議書(ある場合)

取得した財産関係の書類

相続税申告は各相続人が行いますので、各人が取得した財産がわかる資料が必要です。必要な書類は取得した財産によって異なりますが、次のようなものがあげられます。

・固定資産評価証明書
・登記簿謄本
・住宅地図
・現預金残高証明書
・生命保険証書のコピー

特例の適用を受けるための書類

相続税は特例の適用を受けることにより、負担額が軽減されます。そのため、特例を活用する際は、必要な書類をもれなく用意しましょう。必要な書類は特例によって異なりますが、例えば小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、その家を取得する相続人の住民票の写しなどが必要です。

相続税の特例にはさまざまな種類があり、特例を適用できるかどうかの判断も素人には難しいケースがあります。特例の適用を受ける際には、税理士に相談することをおすすめします。

相続手続きは税理士へ相談を

相続の手続きに必要な書類は、種類も多く、手続きごとに必要書類が異なります。書類の準備に手間取ってしまうと、相続手続きが進まず、相続税の特例適用を受けられなかったり、申告が遅れてしまう、などのリスクが生じてしまいます。

相続手続きについては、税理士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる

都道府県から税理士を探す